自分や家族の病気への不安が消えない場合の対処法

「まだ起こってもいないのに不安が消えない」・・・これは多くの人が抱える、とても自然な心の反応です。

特に 自分や家族の病気に関する不安は、“命に関わるかもしれない”というテーマなので、脳が危険を過大に評価しやすいんです。

ここでは、あなたの不安を軽くするための原因の整理と、今すぐできる対処方法を、負担にならない形でお伝えします。

■ なぜ「起きていない病気」を不安に感じてしまうのか?

1. 不安脳の「予測」機能が強く働いている

脳には「危険を想定して先回りする」仕組みがあります。本来は命を守るための良い機能ですが、不安が強いと まだ起きていない未来の最悪の想定 を現実のように感じてしまいます。

2. 過去の経験やトラウマが影響していることも

過去に家族の病気や急なトラブルを経験した人ほど、「また何か起こるのでは?」という感覚が強く残ります。

3. 疲れ・ストレス・睡眠不足で不安が増幅される

心が弱いのではなく、 脳の体力が落ちているだけ で、不安が現実以上に膨らんでしまうことがあります。

■ 今すぐできる「不安を弱める方法」

※難しいものはありません。どれか一つだけで構いません。

① 不安と現実を分けるだけで楽になる

紙でもスマホでもOK。

次の2つを書き分けます。

今、実際に起きていること

頭の中で想像していること

例えば:

起きている:体に症状はない
想像している:重大な病気かもしれない

これを分けるだけで、脳が「これは想像なんだ」と認識し、不安が少し弱まります。

② 「確率の視点」を使う

不安は「可能性がある=起きる」と錯覚させます。

でも現実には“可能性はある”けれど “高いわけではない”というケースがほとんどです。

不安が出たら心の中で「可能性はある。でも確率は高くない」とワンクッション入れると、暴走が止まりやすくなります。

③ 「不安の波」をやり過ごす訓練

不安は必ず波のように上がって、自然に下がる性質があります。ただ、不安が来ると「何とかしなきゃ」と抵抗してしまい、それが余計に増幅させます。

不安が来たときは「来たな。10分くらいで勝手に下がるはず」という姿勢のほうが、結果的に早く消えます。

④ 身体を落ち着かせると不安は激減する

不安は“体の反応”が先に起きることが多いです。

下のどれか一つでOK:

30秒だけ長めの息を吐く(吸うより吐くを長く)

肩の力を抜く

あごを軽く引く

お腹を温める

身体が落ち着くと、頭の不安も自動的に弱まります。

 

■ 不安を感じる自分を責めないこと

不安を感じる自分を責めないこと。これって頭では分かっていても、なかなかできないものですよね。

「そんなことで不安になるなんて弱いのかな」とか、「他の人はうまくやっているのに自分だけおかしいのかな」とか、気づけば自分を追い詰める方向に考えが流れてしまうことがあると思います。

でも、本当は不安を感じることそのものよりも、「不安を感じる自分」を否定してしまうことのほうが、心にダメージを与えてしまうんです。

不安そのものは自然な感情で、誰の中にも存在するもの。

あなたが弱いからでも、意志が足りないからでもありません。

不安は、脳があなたを守ろうとしているサインなんですよね。危険を避けるために「大丈夫かな?」「これでいいのかな?」と慎重になっているだけ。つまり、不安があるということは、生きようとしている証拠でもあります。

重要な参考:不安を感じる能力のおかげで助かってきたこと200個挙げました

それなのに、私たちはその自然な反応を「悪いもの」と決めつけてしまいがちです。

不安が出てきた瞬間に、「また不安になってる」「こんな自分はダメだ」と自分を叩いてしまうと、不安は倍増します。感情を否定されると、心はさらに混乱してしまうからです。

私自身も、ずっと「不安になってはいけない」と思い込み、出てくる不安を押し殺し続けていた時期がありました。「不安」と「不安を感じる自分への怒り」の二重攻撃で、どんどん心は疲れていきました。

でも、ある時「不安を感じるのはおかしくないんだ」と知った瞬間、少しだけ力が抜けました。

不安を無くすよりも、不安を感じたときの「自分への態度」を変えるほうが大事なんですよね。

たとえば、不安が出てきたときに「また不安だ…」と思ったとしても、それに続けて「でも、感じてもいいよ」とひと言付け加えるだけで、心の圧力は驚くほど下がります。自分を責めるより、まず受け入れる。それが、不安との付き合い方の第一歩になります。

不安が来た時に、自分に向かって優しく言ってあげてほしいんです。

「不安になって当然だよ」「今そう感じるのは、ちゃんと自分を守ろうとしている証拠だよ」

その言葉が、心の過緊張をゆるめてくれます。

そして、不安は「悪者ではない」と知るだけでも、心はだいぶ楽になります。不安はあなたの中の警報装置のようなもの。ただ、少し感度が高めなだけなんです。

多くの人が、「不安を無くす方法」を探し続けます。でも、本当に必要なのは「不安に優しく寄り添う方法」を身につけることなのかもしれません。不安は消そうとすると大きくなり、認めてあげると小さくなります。

もし今、胸のなかに重たいものがあっても、それを否定する必要はありません。「不安を感じている自分」を、否定ではなく理解してあげてください。その瞬間から、不安の性質が少し変わります。

そのうえで、できれば深呼吸を一つして、肩の力を抜いてみてほしいです。身体がゆるむと、心の強張りも少しずつ溶けていきます。不安は「ずっと続くもの」ではなく、波のように自然と弱まる力を持っています。

あなたの不安が大きくても、小さくても、感じているだけで十分頑張っています。不安と向き合っている時点で、すでにあなたは前に進んでいます。どうか、そのことに気づいてあげてください。

そして、もし不安に押しつぶされそうなときは、一人で抱え込まなくて大丈夫です。誰かに話してもいいし、助けを借りてもいいし、こういう場所で気持ちを吐き出してもいいんです。不安に優しくできるようになると、心は必ず少しずつ回復していきます。

不安を感じる自分を責めないでください。

それは弱さではなく、あなたが「ちゃんと感じ取れる人だからこそ」生まれる感情なんです。その繊細さも、優しさも、全部あなたの力です。

今日だけでもいいので、不安に寄り添う練習をしてあげてください。「不安でもいいよ」と言えるようになったとき、あなたの心は確実に軽くなっていきます。

そして何より、あなたは責められる存在ではなく、守られるべき存在です。

自分に向ける言葉だけでも、どうか優しくしてあげてください。


 

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